勘定場の坂を上った所に、藩主の休息所として設けられた御用屋敷の「楽寿亭(らくじゅてい)」。その一部、玄関の間、客間の座敷、茶室の三部屋が磯矢邸として現在も残っている。
建築は文化13年(1816)、当主となった次席家老の加藤与五右衛門がその後増改築を繰り返す中で現在の形になっていった。楽寿亭の役割が“休息”であったように、屋敷のいたる所には“癒し”のおもてなしが用意されている。
最もそれをよく表しているのが庭。屋敷中のどの部屋からも眺めることのできる庭の風景に、この屋敷のこだわりと心配りが見て取れる。全ての窓枠からそれぞれ違った庭の風景が映り、粋な計らいは手水鉢(ちょうずばち)や欄間にまで至る。庭に置かれた敷石の位置、計算され尽くした樹木の配置や種類、そして屋敷のあちらこちらに、200年の時を超えて語りかけて来る奥深い精神がある。
大分県杵築市杵築211-1
9:00~17:00(入場は16:30まで)