■沿革
1972年(昭和47)年、笠間日動美術館は、株式会社日動画廊の創業者である長谷川仁・林子に
よって創立され、笠間市佐白山城址公園の西麓に位置する長谷川家累代の邸跡に建造されました。
長谷川家初代の宗民は1734年に生まれ、長崎で外科医学を学んだ後江戸で修行し、1778年に
この地に移り藩公の御殿医となりました。当館創立者の仁は宗民から数えて6代目、現館長の
長谷川徳七は七代目にあたります。
開館にあたり仁は「美術に貢献できるのは私の生き甲斐であり、最高の喜びである」と述べています。
その遺志は徳七が受け継ぎ、企画展示館、フランス館、日本館、野外彫刻庭園など施設の充実を
はかるとともに、作品の収集につとめています。
■所蔵品について
印象派からエコール・ド・パリの作品をはじめ、国内においては明治より現代に至る洋画家の
愛用したパレット、自画像を根幹に、洋画や彫刻、また北大路魯山人の陶磁器など工芸を含め
約3000点余りを所蔵しています。画商の眼が選んだ作品は質の高さで国内外に知られています。
■館内紹介
1)企画展示館
年間5回ほど特別展を開催しています。
これまでピカソ、シャガール、岸田劉生、北大路魯山人ほか様々な作家を取り上げ、
内外の美術の流れを紹介してきました。また、自画像の画家「鴨居玲の部屋」を併設しています。
2)野外彫刻庭園
木内克、本郷新、柳原義達、舟越保武、淀井敏夫など日本の具象彫刻界を代表する作家による
秀作19体が、四季折々の花樹を背景に佇んでいます。野外彫刻庭園のほかにも、各館内外の
所どころに画家をモデルとした肖像彫刻やムーア、ジャコメッティをはじめとするさまざまな
彫刻作品が設置されています。
3)フランス館
1階には創設者を顕彰する意味を込めた長谷川仁・林子記念室、デッサン室、ミュージアムショップが
あります。記念室では、近現代日本洋画家の作品や長谷川家伝来の蒔絵や螺鈿の細工を施した
豪華な篳笥などを、デッサン室では小さいながらも海外作家をはじめ珠玉の名品を展示しています。
2階では日本の近代絵画に大きな影響を与えた印象派からエコール・ド・パリの巨匠たちの名品を常設。
モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ピカソ、シャガール、フジタなどの作品をご覧になれます。
4)日本館
1階には笠間日動美術館でしか見ることのできない画家たちの愛用したパレット画のコレクションを
230点ほど展示しています。
2階の小品展示室では春・夏は木内克、伊東傀ら彫刻家をはじめ岡田三郎助、梅原龍三郎ら洋画家の
小品彫刻を、秋・冬はジュモー、ゴーチェら著名工房作のアンティークドール(昭和の洋画家
児玉幸雄旧蔵)を展示しています。
3階では日本の風土と四季を描いた画家「金山平三・佐竹徳記念室」、5階では2023年4月に開設した
現代日本洋画家を代表する文化勲章受章者の「奥谷博記念室」をご覧いただけます。
茨城県笠間市笠間978-4
午前9時30分から午後5時
(入館は午後4時30分まで)